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ルナとリーヤは街の噴水に腰掛けていた。リーヤが、お腹空いたよと何度も繰り返し言っているが、ルナは無視している。リーヤは苛立ち、猛スピードで辺りを飛び回る。ルナはため息をつき、リーヤを止めようした。
男が一人走って来た。右手に何冊かの本を持ち、息を切らしている。年はルナと同じくらいだろう。ルナがリーヤを止める前に、男の胸部にリーヤが衝突し、倒れた。男の本がばらまかれた。
「いててて」
男が地面に手を付きながら言った。リーヤは目を回している。ルナが男の側に寄り、しゃがみ声を掛けた。
「大丈夫?」
男はルナの顔を見て頷いた。ルナは落ちた本を拾い、渡し、再び詫びた。
「ごめん。うちの精霊が迷惑かけて」
「気にしなくていいよ」
男は微笑んだ。服に付いた土埃をはらい、ルナ達に話し掛けた。
「始めて見る顔だね。旅人さんかな?」
「そうよ。あんたぶつかったお詫びに何か奢りなさいよ!」
リーヤが偉そうに指差して言った。ルナはリーヤの頭にチョップをくらわせた。
「おもしろい精霊だね」
「あんた精霊を知ってるの!?」
リーヤが驚き男に聞いた。
「僕も魔法使いだからね。落ちこぼれだけど」
男は苦笑した。
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はハルト。よろしく」
ハルトは二人の名を尋ねた。
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