第二話『落ちこぼれのハルト』

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「風の魔法を使えばすぐに行けるんじゃない?」 ルナはハルトに尋ねた。 「僕落ちこぼれだから…使える魔法は一瞬光を出す魔法と、物を動かす魔法だけなんだ」 ハルトの言葉にリーヤが呆れた。ルナはリーヤの呆れ顔を見たが、すぐに目を逸らした。 「ルナ」 リーヤの意思が通じたらしく、ルナは頷いた。 「学校まで連れてってあげる」 「え?」 ハルトは目を丸くした。 「ほら、立ちなさいよ」 リーヤが小さい体でハルトの腕を引っ張る。ハルトはふらつきながら立ち上がる。 ハルトは何がなんだかわからない。 「OKだよルナ」 リーヤは親指を立てた。 ルナは短いため息をつき、言った。 「捕まって」 回りの空気が揺れた。 「補助、加速」 リーヤとハルトはしっかりとルナに捕まっている。風でローブが音を立てた。ルナのフードが脱げ、黒髪が揺れる。 「いくよ」 次の瞬間、ハルトが見た光景は、先刻までいた噴水のある広場ではなく、先刻よりも空に近い場所……屋根の上だった。 ルナはハルトに聞いた。 「学校ってどっち?」 ハルトは無言で右前方を差した。ルナはその方向に更に加速する。 今まで感じていた風が弱まった。ハルトの目には見たことのある建物が見えた。 学校だ。 時間は3分と経っていない。間に合ったようだ。 ハルトは安堵のため息をついた。
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