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「風の魔法を使えばすぐに行けるんじゃない?」
ルナはハルトに尋ねた。
「僕落ちこぼれだから…使える魔法は一瞬光を出す魔法と、物を動かす魔法だけなんだ」
ハルトの言葉にリーヤが呆れた。ルナはリーヤの呆れ顔を見たが、すぐに目を逸らした。
「ルナ」
リーヤの意思が通じたらしく、ルナは頷いた。
「学校まで連れてってあげる」
「え?」
ハルトは目を丸くした。
「ほら、立ちなさいよ」
リーヤが小さい体でハルトの腕を引っ張る。ハルトはふらつきながら立ち上がる。
ハルトは何がなんだかわからない。
「OKだよルナ」
リーヤは親指を立てた。
ルナは短いため息をつき、言った。
「捕まって」
回りの空気が揺れた。
「補助、加速」
リーヤとハルトはしっかりとルナに捕まっている。風でローブが音を立てた。ルナのフードが脱げ、黒髪が揺れる。
「いくよ」
次の瞬間、ハルトが見た光景は、先刻までいた噴水のある広場ではなく、先刻よりも空に近い場所……屋根の上だった。
ルナはハルトに聞いた。
「学校ってどっち?」
ハルトは無言で右前方を差した。ルナはその方向に更に加速する。
今まで感じていた風が弱まった。ハルトの目には見たことのある建物が見えた。
学校だ。
時間は3分と経っていない。間に合ったようだ。
ハルトは安堵のため息をついた。
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