4人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日の昼休み、俺は真っ先に体育館裏に向かった。
「待っていました」
俺が来るなり、ズバッと一言を放った。
顔や口調に真剣さが伺える。
「話って何だ? 付き合って下さいってか?」
俺は程々に可能性がある事を言う。
「はい、長い話なのでしばらく付き合って下さい」
……違う意味の『付き合って下さい』が返ってきた……。
内藤は少し間を置いて、俺に喋り始める。
「あなたは世界が動いてないと感じた事がありますか?」
……は?
いきなり、何を言い始めるんだ?
宗教の勧誘か何かか?
「多分、貴方も感じているはず、私が感じていますから……」
「さっぱり意味が分からない」
ああ、本当に意味が分からない。
内藤は更に真面目な口調で
「多分、話しても信じてもらえないでしょうが、言います……私はこの世界の裏側から来ました。そして、私はこの世界の貴方です、近藤大助さん」
と俺をじっと見て言い出した。
……え? 待て。
お前が俺?
てか、いつ俺の下の名前を聞いた?
先公から近藤としか言われてねぇのに……。
「始めは信じられませんが、いつか分かります」
「じゃあ、この世界にどうやって――」
「質問は後にしてください。……話を続けます」
俺の言葉を一蹴された……。
少し自己中だな。
「私の世界はこの世界と違い文明が著しく発達しています。だからこの世界に来れました。……本題に入ります。実はこの世界は一冊の本の一ページなのです。私達は一枚の紙の上で住んでいる事になり、後にも先にも行けない、ただの一ページの中。世界は紙に描かれた絵に過ぎません。だから、同じ事の繰り返しをしています。周りの人はただ気付かないだけ、不思議と思わないだけ。今や私達は絵の上に描かれた落書きに等しいです。……ここまでで質問はありますか?」
内藤は一息で終わらせるかの如く、一気に話した。
「一つ思うんだが、俺は幼少の頃の記憶とか、時代の流れの感覚があるんだぜ? それはどう説明できる?」
「多分、キャラ一人一人の設定です。それと気付いていないと思いますが、今日は月曜日です」
「……それがどうした?」
「私達は日曜に学校に来た事になります。昨日の明日は今日、おかしいと思いません?」
俺は少しずつ、内藤の言葉が信用出来るようになっていった。
……そう、今日は本当に月曜日だから……。
最初のコメントを投稿しよう!