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「何言われたって、俺は俺の考えを譲るつもりはさらさらないし、それにな、あがいた方が俺にとっちゃ楽な方法なんだよ」
これでダメだったら、俺は一人で勝手にやる。
「…………分かりました」
内藤は少しの間を置き、口を開く。
俺の考えが伝わったのか、いや、証明の為か……どちらにしろ、俺は俺のやりたいことが出来る。
「……外に出るための入り口はそこにある桜の木の穴です」
と内藤は昔から体育館裏にある桜の木の方に指を指し言う。
「普通に入っても、何も起きませんが、願いながら入ると、行く事が出来ます」
「分かった、ありがとう」
俺は桜の木に向かい、本の外に出る前、内藤の方を振り向き
「何故、方法を?」
と多分最後の質問をした。
「兄から聞きました」
「……そうか」
俺は返答に少し納得し、穴の中に入る。
……嘘だったら、久しぶりに笑い者になるかな……?
――本の外に!
俺は目を瞑り、祈る。
目を開けた先が別の場所であるように。
本の外の世界であるように……。
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