本編

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――ぐふっ?! 一瞬、落ちたような感覚になり、俺は胸部を強打した。 痛さを我慢し、目を開けるとそこは書斎になっていた。 そして、真ん前に机がある。 俺は起き上がり、机の上を見ると一冊の本、それも絵日記。 だが、中を見るとただの絵日記ではなく、ちょっとした小説だった。 更に読んでいくと、一日一日の出来事が事細かに、且つ一日分の内容が書かれている。 「ようこそ、神の書斎へ」 突然後ろから声がした。 俺はパッと振り向くとそこには俺と同じ年くらいの男がいる。 「神の書斎だと?」 「そう、神の書斎。僕の名前は内藤勇。イサミのお兄様さ、近藤君」 「――ッ?!」 俺は声に出せない程、驚いた。 「僕は本から出る方法を見付け、そこから出た。そして、管理者を消し、僕が管理者となった」 内藤兄は俺の近くに寄る。 「僕は妹の過去の設定に僕が本から出られる方法を教えた事にし、妹も出られるようにした」 内藤兄はその後形相をくしゃくしゃにし怒るように叫ぶ。 「でも僕はいくら出られるようにしても、妹の性格上無理だった! いくら書き替えても、ダメだった! 過去は変えられても、性格は変える事が出来なかった!」 ……いちいち書き替えるから、物語は先に進まなかったのか? だから、ずっと同じ日だったのか? 「僕はただ、妹とまた暮らしたいだけなのに!」 「……自分の為だけに、他の人が来てほしくないから、真実を知る奴を消そうとしたのか? 妹以外」 「そうさ! それで何が悪い?!」 「悪くはねぇよ。だがな、他人を考えねぇ奴には願いは叶わない。実際、お前の所為でイサミは苦しんでんだ」 「嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ! 何が分かる?! 貴様にぃっ?!」 内藤兄は俺の胸ぐらを掴んできた。 「知るか、シスコン」 俺は内藤兄を振りほどき、その勢いに乗って背負い投げをした。 「苦しんでんのは確かだ、自分が消される恐怖とか、自分と関わってしまった人が消えるとか、あいつはお前の事を知らない。全て、逆効果だ」 少しは分かったか、シスコン。
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