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造られた意思
目の前で、自分の肉親が殺さた。友人も、隣人達も……
ずっと好きだったあの娘も……
少年は、止まない雨に混じって流れる血に恐怖と、底知れぬ罪悪感を覚えた。
なんで自分だけが生き残っているのか?
なんで自分だけが震えているのか?
なんでみんな死んだのか?
なんで自分がここにいるのか?
なんで
なんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
『なんで』という言葉の意味が分からなくなる程、少年は頭の中で繰り返した。
だが、自分では死ねずにいて、深い、悲しいもどかしさに包まれていた。
シニタクナイ
必死にそれだけを、自分を保つ道具として、頭の中で呟いていた。
雨に混じる血は、いつまでも流れているかのようだった。
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