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さっきの様にはスンナリ殺らせてはくれない。飛び掛かって来るヤツを体1つギリギリで交わし、一撃を与えて少し距離を取る。
連撃では無く、単発づつ確実に獲物の着地後を狙う。
地味だが弱りかけている。確実に仕留めよう。
学習力がないのか同じ様に飛び込んで来るヤツら、トドメとばかりに斬り裂いた。
跳ね上がり吹っ飛ぶ獲物。確信の手応えと同時に、背中を丸太で殴られた衝撃が走る。その衝撃は行き場を失い僕の身体を前方へ放り投げる。
受け身も取れずに芝に叩きつけられる。
残り3頭居たのだった。
2頭との乱戦に気を取られ忘れていた。
ダメージで震える身体に鞭を入れ、立ち上がる僕に容赦無く襲いかかる2頭。
1頭の攻撃を交わしても、もう1頭の攻撃を貰う。小さな前足の攻撃でも、鎧を着ていても中身に伝わる衝撃はかなりのものだ。
ここは耐えるしかない。1頭を倒すことに集中だ。幾度と攻撃を貰いながら1頭に連撃を加える。逃がす隙を与えず足首を切り刻む。ぐしゃりと音を立て標的の1頭は倒れ込んだ。
残すは1頭。前転してその場から一時避難する。体勢を立て直しチャンスを伺っていた時、山道から1回り大きな鳴き声が響いた。
野太い鳴き声をあげ、後ろ足の赤いカギ爪を地面に叩きつけ、山道から悠然と歩んで来る赤い大きな鶏冠。
最悪だ!
要約残り1頭まで討伐してきたが、ここで真打ち登場とは旗色が悪い。かなりの体力も消耗している。
どうするなどと考える時間など与えてくれる訳がない。
飛び掛かる攻撃を掻い潜り、小物にダメージを与えていく。今は苦しいがこれしかない。
側転から切り上げと良い攻撃が小物に入った。
イケる。
もう一撃と振り上げる。
しかし、背骨が折れそうな程の激痛におそわれ、またも吹き飛ばされた。
欲をかいたのが悪かった。大物の飛び蹴りが僕の背中に当たったようだ。今までのヤツの攻撃など子供のようだ。
これはヤバい。
立てそうにない。うつ伏せ状態から起き上がろうと腕に力を入れる。
地面に映る自分の影を、さらに大きな影が覆う。紙一重で横に転がり飛びつくドスランポスをかわすが万事休す。
仰向けで見上げる僕を見下すように、オレンジ色の眼が冷たく映る。ここまでか…、
悔しさが溢れてくる中で覚悟を決める。
シュゴッ!
頭部の方で何かが弾ける音がした。その瞬間、僕の視界は真っ白い光に包まれた。
あの世か…?
いや、違う。
よく目を凝らすと周りが見えてくる。
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