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ランポスたちは悲鳴をあげ続け目を回している。
僕は上体を起こし頭の方角に目を向けた。
そこには親指を立て合図を送る男が座り込んでいた。その男もかなり手傷をおい、木の幹に凭れかけている。姿の見えなかった建築士だ。
閃光弾を使ったようだ。目の前でフラフラ目を回すランポス。
今しかない!
この好機を見逃すような馬鹿はいない。
身体の傷の事など忘れていた。吹き出す血渋きも気にせず連撃を入れる。
斬り込み斬り払い肘打ち降り下ろし回転斬り…、
気が付けば、足元に微かに息をする大物が倒れていた。
建築士の傷の手当てをし、肩を抱えながら村まで帰った。
その後の事は覚えて居ない。気が付けば自分の部屋の天井が見えていた。
昼過ぎになり、村の広場に行くと、偉そうなハンターが話しかけてくる。
「ドスランポスを倒したんだって!まぁまぁの腕じゃないか。少しは私に近づいたかな、少しは…ワハハハ…」
「はぁ、どうも…」
折角本格的な討伐の後だと言うのに、少しヤル気を無くしそうだ。
今日の仕事をと思い、紹介所に行くと紹介所の前に若村長が僕を待っている。
「やぁ、昨日はご苦労さん。助かったよ」
いやいや、助けられたのは僕の方だ。
「これからこの村もどんどん発展して行くよ。君にはこれからもこの村を助けて貰うからね」
そうだ。もっと腕を磨き一流のハンターにならなければ。ドスランポスで手こずるようでは駄目だ。
「君が倒した獲物で、鍛冶屋のオババが何やら君に渡したい物が有るそうだよ」
僕は紹介所で依頼料のお金を貰うと、鍛冶屋のオババのもとを尋ねた。
「おぉ!若いの来たかい」
僕の顔を見るなりオババは奥の部屋から、引きずりながら何やら運んでくる。
「お前さんもいつまでハンターメイルのままじゃ辛いじゃろて?」
そう言って、青黒い鱗の鎧を差し出してくれた。
「ランポスメイルじゃ。お前さんのヤツに比べたら、かなり丈夫じゃよ」
着てくれと催促される。
「ほぉ、よう似合っとる!」
オババは嬉しそうだ。確かに僕の身体にピッタリ合っていて動きやすい。
「そのヘルムには、少しぐらいの光を遮る効果もあるぞ」
これなら昨日の様な閃光弾の光の中でも、眼を眩ませる事無く戦えそうだ。
オババに礼を言うと、オババは黙り込んで僕を真剣な眼差しで見つめる。
「お前さん、街に行くかい?」
オババはボソリと呟いた。
「街?」
僕の聞き返す言葉にオババは頷き話し出す。
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