第二章

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「……勿論です。ただし、それはかなり使い込んでいるので、あと3回ほどしか使えませんが、よろしいですか?」 十分だ、と、健人は答えた。 タダなら、迷う必要は無い。 駄目元でやってみようと、健人は思った。 加藤の話が嘘でも、損はしないのだから。 加藤は満足そうに頷いて、一枚の紙を取り出した。 「契約書です。ここに、名前、住所、生年月日を書いて、印鑑を押してください。あ、サインでも良いですよ」 健人は少し躊躇った。 いくらなんでも、こんな怪しい奴に個人情報を教えるのは…… そんな健人の思いを見透かしたかのように、加藤は言った。 「形式的な物なので、適当で構いませんよ?なんなら、出鱈目でも結構です。ただ、何故私がここにいて、貴方の名前を知っているのかを忘れないで下さい」 健人はため息をついた。 つまり、この契約書に書くような個人情報は、とっくに知っていると言うことか。 嘘を書いても無駄だ、と思った健人は、仕方なく本当のことを書いた。 加藤は、その契約書をファイルに入れて、大事そうにアタッシュケースの中にしまった。 「それでは、商品の使い方を説明したいと思います」 加藤は話出した。
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