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「……勿論です。ただし、それはかなり使い込んでいるので、あと3回ほどしか使えませんが、よろしいですか?」
十分だ、と、健人は答えた。
タダなら、迷う必要は無い。
駄目元でやってみようと、健人は思った。
加藤の話が嘘でも、損はしないのだから。
加藤は満足そうに頷いて、一枚の紙を取り出した。
「契約書です。ここに、名前、住所、生年月日を書いて、印鑑を押してください。あ、サインでも良いですよ」
健人は少し躊躇った。
いくらなんでも、こんな怪しい奴に個人情報を教えるのは……
そんな健人の思いを見透かしたかのように、加藤は言った。
「形式的な物なので、適当で構いませんよ?なんなら、出鱈目でも結構です。ただ、何故私がここにいて、貴方の名前を知っているのかを忘れないで下さい」
健人はため息をついた。
つまり、この契約書に書くような個人情報は、とっくに知っていると言うことか。
嘘を書いても無駄だ、と思った健人は、仕方なく本当のことを書いた。
加藤は、その契約書をファイルに入れて、大事そうにアタッシュケースの中にしまった。
「それでは、商品の使い方を説明したいと思います」
加藤は話出した。
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