第二章

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いきなり 断ち切り鋏―この商品の名称だ、と加藤が言った―を手渡された健人は、困惑した。 加藤が言っていた様に、他人に迷惑をかけるような奴は消えてしまえば良い、と、健人は思っていた。 しかし、それは正義感から来るものではない。 単に、見ていて自分が不快に思うからだ。 自分の目が届かない所なら、いくらやっていても良い、と、いつも思っていた。 となると、この鋏は健人の為に有るようなものだ。 しかし、加藤の話はどうにも信じがたい。 第一、人との縁が切れるなんて、あまりにも非現実的だった。 だが、また一方では、本当にそんなことができるのか、試してみたい気持ちがあった。 とりあえず、健人は今一番気になっていることを聞いてみた。 「これ、タダですよね?」
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