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「今日は本当にありがとう御座いましたジョモーさんっ!子供達のためにこんなパーティーを開いてくれて…」
今、話しかけてきた娘はターナというこの孤児院の保母さんだ。
ちなみに年は俺より2つ下の18歳。まだ子供と言ってもいいくらいの年ながら、老いた院長を手伝い健気に働いている。ちなみに俺は20歳の大人だ。
俺の誕生日はちょうど戦争最後の日、俺が生きていていたことは同僚達からの誕生日プレゼントなんだと信じている。
「気にしないで下さい。この孤児院は僕の家みたいなものなんですから、まあ……、家族にプレゼントなんて当たり前のことでしょう?」
真っ向から褒められたのが恥ずかしかったから、軽く視線を外してからそう応えた。
「立派になったわね、オルト…」
「ただいま、です。ミルトさん」
奥から声をかけてくれたのは、この孤児院の院長で俺の育ての親でもあるミルトさんだ。
この人が出迎えてくれてなんだか、やっと故郷に帰ってきたような気がした。
「貴方が帰って来たから、子供達も喜んじゃってねぇ。帰って来たそうそうごめんなさいね?」
さっきまでの子供達とのやり取りを見ていたのだろう、ここにいる16人もの子供達を一人で相手にするのは確かに骨が折れる。けれど
「いえ、なんだか逆に楽になりましたよ。ああ、帰って来たんだなぁ…ってね」
子供達を見ているとここがあの戦場ではないことが実感出来る。
「お疲れ様…、本当に貴方が帰って来てくれて嬉しいわ。」
出来るだけ顔に出さないようにして来たが、それでも、ミルトさんには分かってしまうらしく、俺の頭を抱き小さい頃のように優しくあやしてくれた。…しかし、なんだ、こんないい年こいてこの扱いは少し恥ずかしいものがあるね…?
「ああ~、感動ですね~」
俺の後ろでは、ターナが涙ぐみながら、言葉通り感動している。
俺が顔を赤くしながら、されるままになっているとゆっくりとミルトさんは放してくれた。
「…あら、真っ赤になっちゃって…。ふふっ、ごめんなさいね?もう子供じゃありませんでしたね…」
そう言いながら笑うミルトさん。
俺はさらに恥ずかしくなり、ほほを掻いていると、軍用のやや厚めのズボンが引っ張られる。
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