~第1章~ 妄想機械

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「じゃあな」 「おう」 「あぁ」 と、別れを告げ、それぞれの家路につく。今日は何故か虎井の家に行く気になれなかった。そして、家に入ろうとドアノブに手をかけたその時、 「っ!!…ぁ……は…」 頭にいろいろ流れ込み、ひどいめまいと立ち眩みがし、声すら出ない叫びと共に崩れかけた。だが、 (……さい…本当は…なこと…たくないけ……ないとあ………けではな………………ごめん…い…) 「だ…誰だっ!?」 ………… 振り返るが、誰もいない。 「気のせいか…だが、左目が…」 痛い。というより、疼く…(とりあえず洗えばなんとかなるかも…しれん)と、洗面所へ。 時間がたてば痛みはおさまったが、違和感が拭いきれない。鏡をよく見るも、異常らしい異常は見つからない。そこへ妹がきて、 「…何してんの?」 「何もっ!」 「じゃあなんで目を見開いて…すごい顔よ?」 「あっ…」 目が痛いのと、わけの分からん声のせいでイライラし、気がつくと凄い形相で鏡との距離が1,5センチといったところだろう。近かい。 「いや、目にゴミが入ったようで、な」 「ふぅん…まぁ、いいわ。ちょっといい?使いたいんだけど」 「あぁ、わりぃ」 と、仕方なく自分の部屋へ。 寝ようとも考えたがさっきの声のことが気になり、何も出来なかった。 (何だったんだ…?) いろいろ考えた。考え過ぎてベットから落ち、頭を打ち付けた。 「っつぁ!」 「ばーか」 と、隣から聞こえて来た。 「うるせぇ!」 「静かにしてて」 「は?なんでだ…いや…」 「………」 そうしてしばらく考えている間に、外は明るくなっていた。しかし、気づかずに……
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