第2章 出会い

1/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

第2章 出会い

1990年 6月にこの物語は始まる 僕の名前は大和誠(やまとまこと)と言い どこにでも居るような平凡な高校生だ 今日は叔父さんの見舞いに病院に来ている 叔父さんに買い物を頼まれて売店へ向かう途中に販売機の所まで来た時でふと足を停めた 倒れた車椅子が目に留まった 良く見ると車椅子の向こうに人の足が見えた 良く耳をすますと少女の苦しそうな呻き声が聞こえた 僕は慌てて倒れている人の元へ駆け寄った 高校生位の少女が倒れていた 少女の体を軽く揺すってみた 少女は微妙に手を動かして反応を示した パジャマを着ているところからして この病院に入院している少女みたいだった 少女の体を抱き起こしたまま 僕は辺りを見回した 少し先を医師が歩いていた 僕は大声をあげて医師を呼んだ 気が付くまで叫び続けた 少女の体が痙攣し始め 呼吸が更に激しくなり 苦しそうに顔を歪めた 僕の声に気が付いた医師が駆け寄ってくる 駆け付けた医師によって少女は直ぐに病室に運ばれた 医師による診察が始まった 僕は何も出来ずに病室の扉の前に立ち尽くし 助かるように祈り続けた 涙が止まらなかった
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!