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初めて彼女を見た時、僕は何故か彼女を放っておけなかった。
髪と瞳は日本人離れしていた。だって、髪は銀髪で、瞳は赤い。そして、制服が、彼女を注目の的にしていた。
蒼衣の学校の制服は女子はセーラーだが、彼女の着ているセーラーは蒼衣の学校のものとは違っていた。
普通セーラーは上着とスカートに別れているが、彼女が着ているセーラーはワンピース型で、しかも、ちょっと風が吹いたら下手したら見えてしまうんではないかと思うようなものだった。
その彼女は今、風に頭につけたレース付の黒いリボンとスカートをはためかせながら、校内案内の看板と睨めっこしている。
「....あの、何か困ってるの?」
気がついたら声をかけていた。
「.....」
彼女は黙って看板のある場所を指した。そこは職員室だった。
僕は彼女を案内することにした。しかし、この空気が....。重い。重すぎる。何を聞いても、「うるさい」の一言で返される。しかも、その重い空気に耐えて職員室に連れてった彼女が同じクラスになるなんて。
担任によれば、彼女は前は有名な私立高校に通っていたらしい。
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