恋しくて

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 日番谷と松本の二人はいつもいく食事処で、ご飯を食べることにした。 食事処に着くなり松本はまずは一杯とお酒を頼み、さっそく呑みはじめた。 「はぁーおいしいー」 もう一杯とおいしそうに酒を呑む松本を日番谷は呆れつつも、愛しく見つめていた。 見られていることに松本は気付くと、日番谷にも酒をすすめた。 「隊長も呑みましょうよー」 「あー飲んでる、飲んでる」 日番谷はコップを松本に見せて、飲んでることを主張した。 「……それ、お茶じゃないですか」 松本は不服なのか、ほっぺたをふくらませた。 「これでいいんだよ。 だいたい俺まで酔ったらお前を送っていけないだろうが」 まったくと、日番谷はご飯を一口、口の中にいれた。 「……お持ち帰りしてくれていいのに」 松本はぼそぼそと小さい声でしゃべる。 「あ? 持ちかえるに決まってるだろ。 お前に拒否権なんかねえからな」 こちらも松本に聞こえる位の小さな声でしゃべる。 途端に松本の顔が真っ赤になった。 「なんだ、もう酔ったか?」 口の端をあげて、にやにやといじわるい笑みを浮かべる日番谷。 「隊長のいじわる……」 松本は軽く睨んだ。 「気のせいだろ。 ほれ飯も食え」 日番谷はおかずを箸でつまむと松本の口にほおりこんだ。 その後、自分の口にもおかずを運ぶ。 「……もっと」 目を輝かせ、松本は口を開けた。 「甘えるな。自分で食え」 「いいじゃないですかー。 あ、私も隊長に食べさせてあげます」 「断る」 松本がはい、あーんとやろうとする前に日番谷からストップがはいった。 「自分で食え」 「ぶー」 またもほっぺを膨らませて、松本は抗議の声をあげようとして、日番谷の顔が少し赤くなっているのに気付いた。 「ふふふ」 (隊長ってば、恥ずかしがっちゃってかわいい) 「……気色悪いぞ、松本」 「そんなことないですよ。冬獅郎さん」 名前を呼ばれた瞬間、日番谷はご飯を吹き出しそうになった。 「ぶほっ……ごほごほ」 「あら、どうしたんです?」 松本はおしぼりを日番谷に渡す。 それを受け取って口の回りを拭いて、お茶を飲み干した。 「とっとと食べてしまえ……」 (名前を呼んだだけなのに、隊長かわいい) 松本はご飯を食べながらにこにこと笑った。
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