0人が本棚に入れています
本棚に追加
無愛想
整いすぎた外見
自己主張の激しそうな強い瞳
それが初めて君を見た時の印象だった。
「何でこんな雨降りに遊園地なんか行かなくちゃならねぇんだよ。」
「まぁまぁいぃから。そう言わずに楽しんでこうぜ♪」
親友の直也に無理矢理誘われて、嫌々ついて行った遊園地。
6月の雨は、俺の気分を憂鬱にさせる、俺の嫌いなものの一つだった。
「おっ!着いた着いた♪まだそんな顔してんのかよぉ~今日は楽しい一日になるぞぉ♪」
「何だこの人だかり!?こんな雨降りだってのに、遊園地に来るか普通!?」
この遊園地は4月にオープンしたばかりで、6月の梅雨の時期にも関わらず、家族連れやらカップルやらで、ワイワイにぎわっていた。
その人込みの中に誰かを見つけたように、直也は手を振り駆け寄って行った。
俺はその後を追いながらも、直也の手の振る方へ目をやった。
「ごめんごめん、遅くなっちゃった。こいつ俺の一番の親友の類。ぐだぐだ言うから連れてくるのに時間かかってさぁ~。類、こっちのワンピース着てるコが、前に言ってた俺のバイト先のかなちゃん。それでこっちが…?」
「こっちはぁ、かなの友達の咲♪すっごい美人でしょう♪♪」
そう紹介されて、君はニコッともせずに軽い会釈だけで済ませた。
すると直也が俺に耳打ちをした。
「おぃ類、わかってるよな?」
「おぅ。」
「何二人でこそこそ話してるの!?早く行こ♪」
そう言うと、かなちゃんは直也と俺の腕を掴んで、ぐいぐいとジェットコースターのある方へ引っ張って行った。
「あたし、こういうの苦手だから遠慮しとく。」
「えぇ~!!せっかくなんだし咲も乗ろうよぉ~♪」
「向こうのベンチで待ってるから。」
「ちょっと咲ぃ~行っちゃったぁ…」
「まぁいいじゃんいいじゃん♪嫌がってるんだし♪一人で待たせるのかわいそうだし、類も向こう行ってこいよ♪」
そう言って直也は俺にウインクで合図した。
「はぃはぃ。ったく、何で俺がこんなこと。」
女の子と絡むのが、昔から苦手な俺。
何ていうか、キャピキャピした感じが無理。
どう声をかけようか、頭をフル回転させながら、ベンチに座ってる君の所へ歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!