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未来人説
‐2113年‐
歴史科学研究会は1つの昔話について議論していた。
『この話は科学的におかしすぎるよ。
桃の中から赤チャンなんて非現実的だ。
当時の科学力では絶対にありえないね。』
「やはりそう思われますか?私もかねてよりこの件に関していささか疑問に感じていたのです。」
「「いいじゃないか。ユニークで。桃の中に赤チャンなんてとてもファンタジーだよ」」
『しかし何故また桃なんだ??』
「そう。その桃について調べてみたんです。」
①赤チャンが入るほどの大きさであること
②大きさの割にお婆さんが1人で持てるほど軽いこと
③包丁で切られても中の赤チャンが無傷であること
「この3点について考察した結果次のようになりました。①と②より通常の木から出来る桃とは考えづらいということ。通常の桃が赤チャンが入るくらい大きなものになったならかなりの質量になります。考えられるのは桃の果肉より比重の小さい物質で桃の形に似せて作ったということです。③については包丁で割る前に自動で開いた。つまり機械的仕掛けがしてあったのだと考えます。」
『まるでその時代ではない別の時代からやって来たと言いたい感じだが?』
「その通りです。我々が現代で調査した結果この考えに当てはまるものがタイムトラベル社より見つかりました。商品名【タイムカプセル フルーツタイプ】です。」
「「なるほど。タイムマシンでその時代に行き鬼を退治したってことか。」」
『だがそれでは未来人が歴史を変えてしまったということか!?』
「残念ながらそうなります。」
『なんてことだ?!』
「「だが起こったことは仕方がない。君はこれから桃太郎を再現しに行くんだろ?」」
「その通りです。」
『どういうことだ?』
「タイムマシンであの時代に行き鬼を退治しなければ昔話はなくなってしまいます。これも歴史を変えることになります。ですから自らおもむき私が桃太郎を再現してくるのです!」
『…確かに。だが君に任せていいのか?結婚したばかりだ。危険な旅になるぞ。』
「やらせてください!私の祖父は旧岡山出身で私に楽しそうに桃太郎の話をしてくれました。ですからそんな祖父の笑顔を無駄にしたくないんです。そして産まれてくる子供に私も笑って語ってやりたいんです。」
『そうか…任せよう!』
「「現地でのサポートは一切出来ないから十分に気をつけるように!」」
「はい!」
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