春カゼ

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日曜日の部屋は 窓が開けられていて 初夏の風と 君の声が 入ってくればと願ってるんです     夏は汗臭いから 密着するのは心だけね と 笑う君の額の汗に 僕の本音が映されたのでした     夕闇はまだ少しばかり 半袖を嫌って冷えて 輪郭のない君の欲が “もう少しだけ   もう少しだけ” と 時計の針を 19時へと誘うのでした     開け放たれたままの 部屋の窓から 君の居た空間の分だけ 冷たい風が吹き込んで 少し切なく渦巻いて 春は忘れられていくのでしょう     覚えてる分だけ 思い出に色を塗って 間違えてしまったら ひんやりと くしゃみを誘うのでしょう          
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