第二章 ミニマム系VS.捜索系

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 絵瑠がうちに泊まった翌日、俺は朝から忙しかった。  何の因果か大量に弁当を作っていたからだ。  正直のところ、今泉の分だけ作ればいいのだか、弁当を渡した所を見られるとなに言われるかわからないからな。  特に、結城さんなんかだと、 「なんで、俺に作ってこない」  と言いながら二・三発ストライクして来るかも知れないしな、偽装するならこの手しかないよな。 「あにぃ、おはよう」  愛香が起きてきた。 「おう、おはよう」 「あれ、あにぃ、いつもより大量にお弁当を作って何かイベントでもあるの?」  そりゃ、誰でもいきなり運動会に持っていくような弁当を見ると騒ぐよな……。 「いや、クラスの連中と食べるんだ。罰ゲームで作る事になってな、ところで先輩は?」 「絵瑠ねぇはまだ寝てるよ。あたしが起こしても全然ダメだった」  寝る子は育つと言うが、あの人の場合、寝ても育たないな……なに上手いことを考えようとしてるんだ俺は……それに対してうまくないし……。 「仕方ない俺が起こしに行く」 「あにぃ、手荒なことは止めてよね」 「普通に起こすだけだって」  そして、俺は絵瑠が寝ている愛香の部屋に向かった。 絵瑠は、「くかー」と言いながら寝ている。 「寝ている時はかわいいんだけどな……なんだ俺、何ときめきモード突入してるんだ!」  ひとまず、この人を起こさないとな……。 「絵瑠ちゃん先輩、朝ですよ」  優しく起こしたが反応なし。  やっぱりリスナー起こしじゃないと起きないか……。  俺はこの前使ったリスナー起こしを試してみた。 「絵瑠ちゃん先輩、オールナイトの時間ですよ」  すると、今回の反応は……。 「オールナイトは、この時間にやっていないよぉ、くかー」 「やっぱり、起きないか……って、絵瑠ちゃん先輩実は起きてるんじゃないですか!」 「あれ、ばれちゃったかーあはは」  この時点でハッキリ意識があると言うことは……。 「あの、絵瑠ちゃん先輩、どのぐらいから起きてらっしゃったのですか?」 「えっと、明日香ちゃんがときめきモード突入とか言っている時点で……」 「あうあうあう」 「明日香ちゃん、それ大平元総理の真似?」 「ち、違いますよ!それより朝食ができましたよ」 「ん、ありがとう明日香ちゃん」  全く油断も隙もない人だ。
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