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絵瑠がうちに泊まった翌日、俺は朝から忙しかった。
何の因果か大量に弁当を作っていたからだ。
正直のところ、今泉の分だけ作ればいいのだか、弁当を渡した所を見られるとなに言われるかわからないからな。
特に、結城さんなんかだと、
「なんで、俺に作ってこない」
と言いながら二・三発ストライクして来るかも知れないしな、偽装するならこの手しかないよな。
「あにぃ、おはよう」
愛香が起きてきた。
「おう、おはよう」
「あれ、あにぃ、いつもより大量にお弁当を作って何かイベントでもあるの?」
そりゃ、誰でもいきなり運動会に持っていくような弁当を見ると騒ぐよな……。
「いや、クラスの連中と食べるんだ。罰ゲームで作る事になってな、ところで先輩は?」
「絵瑠ねぇはまだ寝てるよ。あたしが起こしても全然ダメだった」
寝る子は育つと言うが、あの人の場合、寝ても育たないな……なに上手いことを考えようとしてるんだ俺は……それに対してうまくないし……。
「仕方ない俺が起こしに行く」
「あにぃ、手荒なことは止めてよね」
「普通に起こすだけだって」
そして、俺は絵瑠が寝ている愛香の部屋に向かった。
絵瑠は、「くかー」と言いながら寝ている。
「寝ている時はかわいいんだけどな……なんだ俺、何ときめきモード突入してるんだ!」
ひとまず、この人を起こさないとな……。
「絵瑠ちゃん先輩、朝ですよ」
優しく起こしたが反応なし。
やっぱりリスナー起こしじゃないと起きないか……。
俺はこの前使ったリスナー起こしを試してみた。
「絵瑠ちゃん先輩、オールナイトの時間ですよ」
すると、今回の反応は……。
「オールナイトは、この時間にやっていないよぉ、くかー」
「やっぱり、起きないか……って、絵瑠ちゃん先輩実は起きてるんじゃないですか!」
「あれ、ばれちゃったかーあはは」
この時点でハッキリ意識があると言うことは……。
「あの、絵瑠ちゃん先輩、どのぐらいから起きてらっしゃったのですか?」
「えっと、明日香ちゃんがときめきモード突入とか言っている時点で……」
「あうあうあう」
「明日香ちゃん、それ大平元総理の真似?」
「ち、違いますよ!それより朝食ができましたよ」
「ん、ありがとう明日香ちゃん」
全く油断も隙もない人だ。
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