第三章 鈴華 サイド ストーリー

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 ワールドアルカディア社、表向きでは、最新技術開発とかを行っている優良企業であり、また身寄りのない子供とかを預かったり等と印象がいい会社に見えるけど、この会社が主に大成長した要因は、技術開発による開発兵器の売却と“人材派遣”にあり、この会社が行っている、身寄りのない子供の保護もこの人材派遣に大きく関わってくる。  3月のある日、私は、新しい仕事と言うことで、作戦会議室に呼ばれた。  私の名前は、今泉鈴華(いまいずみれいか)、このワールドアルカディア社の諜報部所属で年齢は15歳。  普通の子なら、4月から高校生だけど、私達にはそんなことは関係無かった。  この会社に所属している子供で高校生になる年齢に達したら、一作戦の行動隊長になるからである。  人材派遣、つまりはその手の作戦とかに送り込むための人々と言うことで、身寄りのない子供を集めるのも“人材育成”と言うことになっている。  私の場合、身寄りの無い子供のケースでは無く、実家が代々続く忍びの家系だったけど、この現代、忍び一筋とか忍者ショーだけで食って行くのは、無理と言うことで、このワールドアルカディア社で人材派遣でお世話になっている。  つまり、一家まるごとM&Aってやつかな? 「この時期に呼ばれたと言うことは、多分この新しい仕事が私の行動隊長デビュー戦って訳ね」  基本的にうちの一家が指導しているのは諜報活動がメインなのでコロシはやらない、必要に迫られた場合はやむ終えないけど、それなりの戦闘訓練はしているけど、諜報活動でそれを使うケースは、同業者と鉢合わせになるか、もしくは、対象者をヤらなければいけない場合。  だけど私が参加した作戦では、そういう事は一回もない、優秀なんだ、私は……。  一体どんな仕事になるんだろう、私はワクワクしながら作戦会議室の扉を開いた。 「今泉鈴華、ただいま参りました」 「うむ、鈴華ご苦労」  扉を開けたら、私に仕事を伝える役目の諜報部長がいた。 「それで、今回の仕事では、なんでしょうか? 父様!」 「こら、一応ここでは、諜報部長と呼びなさい!」 「なんで? 諜報部長は、父様じゃなく父様の皮を被った何かかしか?」 「……父様でかまわん」  一応、この諜報部長は、私と血の繋がっている忍びだけでは食っていけないと言った父様である。
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