夏とヤツ 1

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満足したのか漸くほっぺから手を離した智は「あーあ」とわざとらしいため息をついた 「冬樹ー俺、再テスト引っかかっちまったよ」 「ご愁傷様。数学?」 「そう。せっかく明日から夏休みだっていうのに……」 期末試験で出来の悪かった生徒は、補習授業に呼ばれみっちりとシゴかれる 「でも部活で毎日、学校には来るんでしょ?」 「そぅだけどさ。あ!夏の大会、俺、団体戦出るから応援来てよ?」 「もちろん、行くよ。いつなの?」 「えぇっと――」 そんな話をしながら教室に入る もぅ、梅雨の気配は微塵も無く、窓をみやると元気そうな入道雲が僕らを見ていた
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