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『わぁ~見て、見て~! 雪、降ってるよ~』 小さな声で彼女がはしゃいでいる 布団から出たままの格好で、薄緑のブラインドの隙間を覗いている 『すごいよ~!ほら!』 僕は毛布を引きずりながら、布団から出た 『さぶ!』 暖房を入れているのにフローリングの床が冷たい 窓際の彼女に近寄ると…窓はもっと冷たく…冷気を放っている 僕はブラインドを上げて…彼女を抱きしめ毛布を羽織る さっきまで僕より温かかった彼女の肌は…冷気に当たって冷たくなっている ぎゅ~ 彼女の顔に頬を寄せる 彼女の視線は…ずっと窓の外 窓の外は、ここ何年か見た事が無いくらいの雪 風はなく…結晶と結晶が優しく手を繋いで降ってくる柔らかい…ぼたん雪 ふわふわと ひらひらと 『温かいね…』 彼女がぽつりと言った どうやら~毛布や僕の事ではなく、この雪を見て言ったようだ 僕は彼女を抱き締める手に力を入れる ぎゅ~ 彼女は良く僕をメールで抱きしめてくれる 『ぎゅ~~💓』 だから僕が彼女を抱き締める様子も、こんな陳腐な表現 でも…陳腐でも、ぎゅ~💓 『ふふ…』 彼女が楽しそうに小さく笑った 力を込めた僕の手から…僕の雪へのヤキモチが伝わったのかと思った 雪を見つめる彼女の優しい顔に…ヤキモチ 彼女は雪から目を逸らし…僕の方を見た そして唇の端にキス 僕が彼女の唇を追うと…彼女は僕の鼻にキス チュッ 僕は彼女の唇を諦めて…彼女を見つめる 彼女は向きを変えて…雪を背にし…彼女を見つめる僕の瞼にキス 僕は反射的に目を閉じた …唇に優しいキス 冷たかった彼女の肌は…いつの間にか僕より温かくなっていた …雪がヤキモチをやくくらい彼女を抱き締める
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