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「なんの話だよ…」
思わず言い返した僕に、豆鉄砲をくらったような顔を作るニア。
「ぇえ、貴方にですよぉ」
あまりのオーバーリアクションにはっきり言ってなにか突っ込みたかったがスルーして言いたい事を言うことに先決。
「だから、なにが、どう、似合うとかあるだろ?それ以前になんなんだよチョコが似合うって」
ニアは全く動じず、僕の目を見ながら続ける。
「その言葉通りの私の素直な意見です。貴方は私よりチョコが似合う」
悔しいですね、と続けるニア。
似合う?
好きではなく?意味ではなく?
イマイチ意味がよく分からずに返答に迷っていると、何か僕の顔に見つけたのか顔をぐぐっと近付けて来た。
本来の年齢よりかなり幼く見える調った白い顔が、僕の鼻先で留まった。
「チョコついてます。」
顔に舌の感触を受けて背中になにか衝撃が走った。
口の左端をペロッと舌を出して舐める。
頭が真っ白になった。
それからニアが一定位置を保ってもポカンとしたままの僕に、ニアは髪を片手でいじくりながら言う。
「メロはチョコの味です」
そう言い残してぺたぺたと歩き出したニア。
パタン、と扉が閉まってやっと我に帰った。なんなんだ
なんなんだ
なんなんだアイツは!
アレは僕をなんだと思っているのだろう。
というか口絶対ついた。
絶対。絶対。
わなわなと震えるからだで窓に目をやると、どういうことだと僕は自分の目を疑った。
ニアが、外にいる。
初めての光景だった。
窓越しこっちを向いて、じいっと僕を見つめる。
何か口が動いて……ないか?
何かを僕に伝えようとしてると思い、僕は窓を開けた。
「なんだよ、ニア」
「ちょっとこっち向いてください」
「は?」
「いいものあげますから」
そうごり押しされ、いやいやだが向き合う形で近寄った。
すると、目をつぶれと要求してくるニア。
どうせ何を言っても聞かないだろうと大人しくする。
カサ、と目の前で音がした。
だが、それきり何もない。
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