灰かぶりと魔法使い。

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  全てを見ていたのは、陰った星だけ。 お城へ向かった馬車は、綺麗な綺麗な、今まで見た事もないお嬢さんを乗せていた。 馬車が去った道端には、ちょっとばかりみすぼらしい、控え目な少年が立っていた。 彼の目には、綺麗な哀しい、幸せの為の涙。 魔法使いは、恋をしたのだ。 汚ならしい、誰もが眉をひそめるような灰だらけの少女に。 誰よりも我慢強かった少女に。 王子様は、恋をするのだ。 誰よりも見目麗しく、誰もが溜め息を吐く月明りの精のような少女に。 誰よりも笑顔な少女に。   おお、シンデレラよシンデレラ! 不幸にも、愛しい娘よ! 幸せには、なれましたか?              Fin.
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