番外編:イッちゃん

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イッちゃんには数え切れない程の武勇伝があるが、これは笑える武勇伝である たいていイッちゃんは外から帰ってくるとまっすぐご飯を食べる その日も「ニャニャ」と帰りの挨拶を言うと、まっすぐご飯のもとへ向かった でも何だかいつもと違うのである 強いて言うなら元気がない カリカリを食べる音から背中に漂う雰囲気まで哀愁が漂っている 「カリポリ…ハァ…カリ…ポリ…ハァ…」 嘘だと思うだろうが、本当に溜め息までついているのだ 「もしかして喧嘩に負けた…??」 と、パパ 「まさかー、気のせいだって」 と、ママ でも明らかに元気がない 信じるしかないのか と、その時イッちゃんが尻尾をピンと立て、いつも開きっぱなしの窓に向かって歩いていく 「イッちゃ~ん、もしも~し」 呼びかけるが反応なし 「行ってらっしゃーい」 イッちゃんは出かけて行った
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