3年目の夏

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「あぁ、今月も数字が足りないなぁ…。どうしようかなぁ。」 朝の会議で課長から言われたことに対する妙案もないまま、取引先へと向かっている。 「こんにちは。東西銀行です。田中経理部長はいますか。」 「あぁ、垣内君、暑い中ご苦労様だね。まあ、中に入って冷たいお茶でも飲んで行きなよ。」 雅治は応接室に通され、女の子が運んできた冷たいお茶を喉に通す。 「いやぁ、田中部長、生き返りました。」 「それはそうと、約束なしで来て、どうしたの?」 田中経理部長は少し怪訝そうな目で雅治を見つめながら聞いた。
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