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白狼「母上!?」
そう、その赤い炎は全身に傷を負い滴る血に染まった母、紅羽だったのだ。
紅羽「ハァハァ...。間に合って...良かった。白狼、怪我は?」
白狼「...ない。」
紅羽「緋鳥と華京は?」
白狼「俺が逃がした。」
紅羽「良くやった。いい子だ白狼。」
紅羽は二人が逃げたと聞いて安心したのか、正面の敵に向き直った。
紅羽「お前も早く逃げなさい。」
紅羽は白狼を振り返ることなくそう言った。
白狼「バカな事言わないでくれよ母上、俺とて羽草村に生まれた男だ、妹達や村人達を守る為なら父上のように立派に戦ってみせるさ!」
白狼はまるで鋭い狼の様な眼光を敵に向けながらきっぱり言い放つ。
紅羽「ふっ、好きにしな。...全くあんたのその目、父親の刀牙そっくりだよ。」
紅羽は最後に一度だけ振り返り、満足げな笑顔で白狼を見つめた。
男「最後のお別れが済んだんやったら、そろそろ始めようか。こちとら暇とちゃうねん、早よ用を済ませて帰らなわい志々雄様に殺されてまうわ。」
女「さぁ!行くわよっ!」
男と女はそれを合図に紅羽と白狼に襲いかかる。
紅羽「行くよ、白狼!」
白狼「承知!」
紅羽と白狼も命を懸ける思いで応戦した...。
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