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緋鳥「ありがとう...ございました。」
青年の見た目からは想像もつかない強さに圧倒されつつ、緋鳥も感謝の意を伝えた。
青年「しばらくは大丈夫そうですね。そう言えばお母さん達はどうします?別に平気なようでしたら僕はこれで先を急ぎますけど。」
青年はそう言って刀を鞘に納め、男達と戦う最中に落とした物と思われる、紐で縛った小さな荷物を拾い上げて埃を払う。
緋鳥「.......。」
華京「母上と兄上を迎えに行って姉上?華京、このお兄ちゃんとここでちゃんと待ってるから!」
決めかねている緋鳥を後押しするかのように華京が言う。
青年「じゃあお姉ちゃんが戻るまでお団子でも食べていましょうか。」
華京「わぁいお団子!」
青年の言葉に釣られて華京は目を輝かせている。
緋鳥「じゃあ、すぐ戻って来るからちゃんとここで待ってるんだよ華京?」
華京「はぁ~い!」
緋鳥「それじゃ少しの間お願いします。」
青年「えぇ、さぁどうぞ。」
緋鳥は元気に返事をする華京に苦笑を浮かべながら丁寧に青年に言うと、青年に促されるまま元来た道を走って戻った。
華京「どうしたのお兄ちゃん?」
緋鳥の姿が見えなくなった頃、華京はずっと黙り込んだまま緋鳥の走って行った方を見つめ続ける青年に首を傾げながら問いかけた。
青年「何でもないですよ。さぁ、お団子食べましょうか。」
青年はそう言って手持ちの荷物から団子を取り出した。
華京「わぁ~い!」
華京は団子を幸せそうに口にする自分を、冷たい笑みを浮かべながら青年が見つめていることには気づきもしない。
青年「予定通りですね...。」
青年はそう呟くと、さらに冷たい瞳で笑みを浮かべた...。
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