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村長「うむ...。最早、お前の言う通りそれしか道は残されていまい。お前を含めて戦える者はどれくらいじゃ紅羽(くれは)?」
村長は悩んだ末に赤い髪の女性に問いかける。
紅羽「私と息子の白浪(はくろう)、それから娘達の計四人です。」
紅羽と言う名に相応しいその赤い髪の女が答えた。
すると、それに反応するかの様に二人の会話を聞いていた青年と二人の少女達が紅羽の元に集まった。
青年は十九歳くらい、十七歳と五歳くらいの少女が二人だった。
村長「四人...。この人数を逃がす為に敵を食い止めるには、いくらお前達の力を持ってしても到底無理じゃ...。かくなる上はアレを使うしかあるまい。」
村長は考えた末にそう言って、どこからともなく紐で結ばれた漆塗りの玉手箱を取り出してきた。
紅羽「村長、それはまさか!?」
紅羽は箱の中身に気づいたのか、青ざめた様子で箱を食い入るように見つめている。
村長「最早これを使う以外に皆を救う方法はないのじゃよ紅羽。なに、心配は無用じゃ、これを使うのはこの儂一人で十分じゃろう。」
村長は優しく笑いながら、覚悟を決めた眼差しで箱から何かを取り出した。
それは、緋色の羽の形をした草だった。
紅羽「止めて下さい村長!その羽草(はねぐさ)を使わずとも、必ず何か他に方法があるはず...。例え無くとも私達がこの命に代えても必ず道を開きます!今ここであなたが倒れたら、一体誰が子供達に教えを説くのです?」
紅羽は緋色の羽草を手に取る村長を必死で思いとどまらせようと訴えた。
村長「お前ほどの者にならわかるはずじゃ紅羽、他に道はない。こうしている間にも奴らは迫っているのじゃ。」
村長がそう言って羽草を口にしようとした時...。
ズドォン!
入り口の方から物凄い音がして、それと同時に大勢の黒い衣装の男達が攻め込んできた。
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