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華京「あっ!」
ズシャアッ!
村の入り口まで後少しという所で、とうとう華京が白狼の速さについて行けず足がもつれた転んだ。
緋鳥「華京早く立たなきゃ、あいつらが追って来る!」
緋鳥は遠く離れた背後から、村人や女子供を容赦なく切り捨てながらこちらに向かって来る黒い群れを見て言う。
華京「痛いよぉ~、うあぁん!母上~!」
白狼「華京、早く負ぶされ!」
膝を擦りむき、地面に座り込んだまま泣き喚く華京に白狼がすかさずしゃがんで言う。
女「あら?私達が着くまでにちゃんと虫けらは掃除しておけって言ったのにまだ残ってるじゃない、これだから下っ端は嫌なのよねぇ。後できっちりお仕置きしてやらないと。」
今度こそ村を出ようとした三人は、いつからそこにいたのか突然現れた女によって行く手を阻まれた。
女は白狼達を見るなり苛立った様子で大鎌を肩に乗せた。
男「えぇやんか鎌足はん、こんなガキ共この俺が一瞬で切り刻んだるわ。」
そこに新たに逆立った短い金髪の全身刀だらけの男が現れた。
男は体の至る所に所持した刀の中から、腰の刀を選んで抜くと、獲物を狙う獣の様な目で刀の刃を一舐めした。
白狼「緋鳥、お前は華京と一緒に早く逃げろ。」
緋鳥「兄上は?」
突然の兄の言葉に緋鳥は不安を感じずにはいられなかった。
白狼「早く行け!」
緋鳥「...わかっ....た。」
それでも緋鳥は一番幼い妹を兄から任された以上、その言葉に従うしかなかった。
緋鳥「ほら華京、お姉ちゃんに負ぶさるんだ!」
緋鳥に言われて華京は頷くと同時に姉の背に負ぶさった。
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