プロローグ

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油断した少女の口から大量の吐血が吹き出した。 その隙に女は立ち上がり、大地を蹴った。 その体は人間とは思えない跳躍で空へと飛び上がる。 さっき切られた傷がかなり深いのだろう。 噴き出す流血が空を舞った。 少女は口元の血を拭いながら去っていく影を見つめる。 「殺してヤル、待っていろ必ず」 少女は笑った。 それはこの世と決別した、全てを棄てた笑いだった。 秋の長い闇に少女の笑い声がいつまでも響き続けた。
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