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一番前の窓際の席で、雫は頬杖をつき、グラウンドを眺めていた。
次の授業が体育なのか、違うクラスの子たちが体操服を着て集まり始めている。
そんな様子を見ながら、雫は小さくため息をついて前に立つ人影に気付き、顔を上げた。
「何、暗い顔してんの?」
クラスで仲の良い、佳代が笑いながら聞いてくる。
「…べっつにぃ~。」
私は素っ気なく返した。
「ふぅ~ん。
…あっ!
見てみてっ!!隣のクラスの新君だよっ♪♪」
佳代は私の返事を流しながら、グラウンドに視線を移し、興奮しながら言ってきた。
私の視線も佳代の言う生徒に向けられる。
佳代が興奮するだけあって、なかなかカッコイイ人だな…
そう思っていると一瞬、目が合った気がした。
けれど、すぐに視線は反らされる。
……気のせいか。
その時、私はそう思っていた。
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