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マリアとセイはある町の中で毎年開催される祭りに来ていた。その祭りは昔からヤンキーの集まりで客にしても売る人にしてもみんなヤンキーばかりだった。   そこでセイがあるカードゲームのカードを一枚欲しがった。そのカードはどうやらプレミアらしく、店の一番高い所に飾られており、そのカードの値段がかいた札はどこを探しても見当たらなかった。マリアがいくらなのか訪ねると、ヤンキーの兄ちゃんはヤンキーなりに申し訳なさそうに、   「すいやせん、これ、売り物じゃないんっすよ、すいやせん」   と言った。   セイは、ふーんと言ってその場を立ち去ろうとしたのだが、今度はマリアががっついた。   「いくらなら売ってくれますか?」   ヤンキーはまた申し訳なさそうに言う。   「すいやせん、売り物じゃないんで」   「千円くらいで、売ってくれませんか」   「すいやせん、本当すいやせん」   「じゃあ、五千円で」   「すいやせん」   このやり取りが数回(結構な時間であった)続いた後、ヤンキーはやっとカードの買い取りを承諾した。 何故なら、カードの値は最終的に五万になったからだ。マリアは、カード一枚に五万円支払った。   「まりあありがとう」  セイの心なしの礼に、マリアの無邪気な笑顔がこぼれ落ちた。
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