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レベル7
マリアとセイはある町の中で毎年開催される祭りに来ていた。その祭りは昔からヤンキーの集まりで客にしても売る人にしてもみんなヤンキーばかりだった。
そこでセイがあるカードゲームのカードを一枚欲しがった。そのカードはどうやらプレミアらしく、店の一番高い所に飾られており、そのカードの値段がかいた札はどこを探しても見当たらなかった。マリアがいくらなのか訪ねると、ヤンキーの兄ちゃんはヤンキーなりに申し訳なさそうに、
「すいやせん、これ、売り物じゃないんっすよ、すいやせん」
と言った。
セイは、ふーんと言ってその場を立ち去ろうとしたのだが、今度はマリアががっついた。
「いくらなら売ってくれますか?」
ヤンキーはまた申し訳なさそうに言う。
「すいやせん、売り物じゃないんで」
「千円くらいで、売ってくれませんか」
「すいやせん、本当すいやせん」
「じゃあ、五千円で」
「すいやせん」
このやり取りが数回(結構な時間であった)続いた後、ヤンキーはやっとカードの買い取りを承諾した。
何故なら、カードの値は最終的に五万になったからだ。マリアは、カード一枚に五万円支払った。
「まりあありがとう」
セイの心なしの礼に、マリアの無邪気な笑顔がこぼれ落ちた。
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