レベル7

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お城はずいぶん豪華だった。サビがそこらじゅう目立っている。タバコの匂いが充満している。ばれるも何もここは無人なのではないだろうか。人の気配が感じられない。   エレベーターが止まりそうだ。こんな所に閉じ込められたら終わりだ。エレベーターは一階と八階と二十六階にしか止まらないといったお粗末なものだった。とりあえず二十六階で止まったエレベーターは、ガシャンと大きな音を立てた。   頂上はどうやら三十七階。ここからは階段で行かなければいけないことになる。マリアは錆び付いた階段をできるだけ音をたてずにのぼることを心がけたが、高いヒールをはいたマリアにはそれは不可能といってよかった。しかたなくマリアは靴をぬぎ、裸足でそれをかけあがるはめになった。 途中で段ボールが積まれていて、通ることができないように思えた。しかしマリア、その段ボールを音をたてずに破壊していく。その動きは今にも浮き上がりそうで不気味なものだった。マリアはさらに上へ進む。 そして三十七階。マリアが息を切らせて見たものは、虚無。何もない。一つだけドアが聳えるだけ。そのドアを開ければ、どこか違う世界へ連れてかれてしまうのではないかという衝動にさえかられる。それほどお城の頂上は何か異様なものを感じさせた。 マリアはその丸いドアノブに手をかける。もちろんドアは開かない。マリアはセイから預かっていた鍵を一目散に差し込んだ。
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