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ドアは鍵が掛かっていなくて、すんなり開いた。マリアはごめん下さい、などと言って、ドアを半開きにして中を覗いていた。
シンとした部屋の中にテレビゲームの音だけが鳴っていた。マリアは中に入っていく。
「せいちゃん?」
部屋には、壁にもたれて座っているセイと、マリアの知らない男がいた。男はテレビゲームに夢中になっていた。
「せいちゃん」
マリアはセイを呼ぶと、セイはちらりとこちらを見た。マリアは何故かひどい疎外感に襲われた。なにかマリアの知らない、セイのような気がしたからである。
最近のセイが普段何をしているのかを色々周りなどから聞いていたから知ってはいたものの、実際に学校以外での最近のセイを見るのは、これが初めてだったからである。
「あ、来ちゃったの?」
相変わらず目をあわせないセイは、冷笑しながらそう言った。
『なんか、すごく嫌だ、せいちゃんを、今すぐここから連れ出したい!』
「せ…せいちゃん、学校に戻ろうよ」
マリアは、セイのほっそりとした腕をつかんだ。するとテレビゲームをしていた男がマリアの方を見た。男は金髪で、髪を全部たてていて、体格ががっしりとしたかんじであった。男は、目を見開いて言った。
「鈴原、このコ誰?」
「がっこうの人」
『がっこうの人って何!?』
「かわいいこだね、鈴原」
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