戦禍の虎

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14年前、【ワーナーズ王国】(ネクセ達の住む国)と【マイレン帝国】(対立国)との間では停戦条約が結ばれようとされていたが、戦場にいる兵士にはその事が伝えられずにいた。 「諸君!これから紹介する者は今日から我が軍で我等と共に戦う勇敢な志願兵である!」 「ジェイド・アンセフトです。死ぬ覚悟はあります。宜しくお願い致します」 当時18歳であった私は貧乏な家族のために自ら国に体を売った。本当は普通の仕事をしたかった、好きで戦場に来た訳では無い。 「では各自解散!」 解散後、1人になった私にある人が話しかけてきた。 「お前も志願兵か、俺もそうなんだ。俺の名はティガー・シェドー、皆からはタイガーて呼ばれてる。ヨロシク!」 黒髪を後ろで短く結んでいるその人は、どこか女性的な面相をしていた。しかもどこかで見た事のある。 「あ、宜しくお願いします。…あの、先輩は何故志願兵に?」 「ん?この争いを早く終わらせるためだ。俺の子供には平和な世界をプレゼントしたいからな」 「凄いですね。僕も…家族には平和な世界をプレゼントしたいです」 「では頑張らなきゃな!ところでお前は誰かを殺した事はあるか?」 「いえ、無いです」 「じゃあ一つ忠告しておく。殺しに慣れた奴の結末は決まって悲惨なものだ。だから決して殺しに慣れるな、良いな」 殺しに慣れるな、その言葉が頭から離れなかった。そしてその言葉のお陰で殺人中毒にはならずに済んだ。
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