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「クロの街が帝国に落とされたらしい」
「あの魔道士ばかりの街がか?」
「あぁ、例の黒騎士が出たみたいなんだ」
兵士が話している。エムはガラガラの食堂で一人座っている。
「どうした?浮かない顔して」
スカイが歩いてきた。
「いや、いつまで続くんだろうな…こんな事」
エムは、殆ど口を付けていない昼食をつつきながら言った。
「この戦いに終わりなんてあるのか解らない。しかし俺たちがみんな帝国に支配されちまったら終わりだな」
「おいっ」
エムはテーブルを叩く。
「つまりだ、俺たちが勝つか帝国が勝つか…この二つしかないんだ」
「っ…」
エムは次の言葉が出てこない。
「前にも言ったよな。割り切るんだ、死にたくなかったら目の前の敵は殺せ」
「ただ殺し合うだけでは憎しみの連鎖が増えるだけだ」
エムは目を細めて頭を抱えながら言った。
「バカやろう!お前だって知ってるだろう!帝国のやり方を」
スカイは深く息を吸って、
「アイツ等は全てを奪っていくんだ。俺たちの明日の為に…帝国は倒さなければならない」
スカイはそう言うと「部屋へ戻る」と言って食堂を後にした。
帝国の脅威、そして平和への道。考えれば考える程気が遠くなるものだ。エムはそれ以降食事には手をつけず食堂を出た。
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