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「あれ、りる。どうしたの?」
コンビニで出会った人との挨拶のようにユラが声をかける。俺はなんとか息を整えながらユラに笑いかけた。
「…今日が最期だから…会いに来た…」
どうせ終わるなら
君のそばに。
「そっか。ありがと」
「…泣いたりしろよ、可愛くない」
「泣かないよ。だって最期なのにりる来てくれたじゃん」
「そうだけどさ…」
ユラが玄関を閉め、俺のそばに来てくれる。
長く茶色いストレートの髪は紫の空で少しだけ濁って見えた。
「あ、指輪…つけてくれたの?」
「最期だし…」
「それ200円だったんだ。もっと高いの買ったら良かった」
お前がくれた事に意味があるんだよバカ
そう言おうとしたのに喧嘩するのもなんだから俺はセリフを飲み込んだ。
「はまったからいいよ」
「だよね。見て、お揃い」
ユラが細く白い指を見せる。その指にはまっているのは俺の黒のリングとは対照的な白のリングだった。うん、似合う。
「りるがしてくれないから今日が初めてお揃いだよ…」
「いやだったんだよ」
「なんで」
「彼女からもらった指輪してんの格好悪いから」
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