たんぽぽの綿毛

パタパタパタとスリッパで走りにくくても頑張ります旦那さまのネクタイ持って玄関へ急ぎますはきにくそうに革靴に足をグイグイと入れてる旦那さまチョイとつついてこかしたくなるのを堪えて旦那さまの襟首にネクタイをせかせかとつけてあげるちょっとした沈黙自分の手元に集中するけど旦那さまのじっと見てくる視線を感じてなんだか恥ずかしくて今更ながら緊張しちゃう “はいっ……” “ありが……” 得意の中尾アキラ巻き改良版パート２完成を目の当たりにして二人して絶句ですわてわてと直す私の手に旦那さまの大きな手が重なっておでこに、ちゅっ不意打ちに目を丸くする私に “いってきます” 慌ただしく玄関のドアが閉まる私はおでこに優しくふれてどうしようもないくらい嬉しくて私も小さく “いってらっしゃいませ”

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