プロローグ

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   色の無い少女だった。  澄みきった存在のようで、虚無に満ちた存在にも見える。  少女は謳う。 「次元を異にし、存在する双子の世界」  少女は謳う。 「科学に優れた世。すなわち現実世界【現世】」  少女は謳う。 「魔法に優れた世。すなわち幻実世界【幻世】」  少女は謳う。 「世界を構築する、十二の属性」  少女は紡ぐ。  自分で自分を穢すように、自分で自分を満たすように。 「全てを照らす光」  紡ぐ。 「全てを覆う闇」  紡ぐ。 「全てを灰に帰す火」  紡ぐ。 「全てを飲み込む水」  紡ぐ。 「大地を創る土」  紡ぐ。 「裁きを下すは雷」  紡ぐ。 「大地を撫でる風」  紡ぐ。 「時をも凍らす氷」  紡ぐ。 「奏でるは音」  紡ぐ。 「世界を縛る時」  紡ぐ。 「虚無を表す無」  紡ぐ。 「混じり合うは混沌」  紡いだ。  虚ろな心を持つ少女は、ただひっそりと、紡いだ。  
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