559人が本棚に入れています
本棚に追加
那須野を窓際に呼んでカーテンを開く。お隣、お向かいさんってわけじゃねぇけど、この辺りで1番敷地が広く、立派な建物をしてるのが那衣んち。
俺自身、ガキの頃から何度もお邪魔させてもらってるし、近所で木野家を知らない人間はまずいない。
外車が走れば葉月さん。庭先でバーベキューパーティをするのも木野家くらいだし、家族全員が美形……ってことも、近所じゃ有名だ。
「……ホントに小さい頃から近くにいたんだ……幼稚園からずっと一緒?」
「もっと前」
「……?」
「産まれた病院も一緒なんだよ。那衣が先に生まれて、保育器も隣だったんだ」
「……凄い。当時の写真とかないの? 見てみたい!」
「……えー」
……さては、コイツ。勉強する気ねぇな。
アルバムを与えた後は1人で勉強に集中しようと、渋々押し入れからアルバムを引っ張り出す。
写真の中にはヤツのプライベートが写し出されてるけど……ま、べつに那須野ならいいか。
「産まれた時から高校入学まで計8冊。あとはご自由にドウゾ」
数学のノートを開いていざ自習……しようとした途端、那須野が一言。
「どれがキノちゃん?」
「……」
……アルバム8冊分を解説しなきゃならねぇ予感がした。
最初のコメントを投稿しよう!