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夜、寝ているとドアの開ける音がした。
親父だ。
「おい! 美智代。飯を食べに来てやったぞ!」
俺は耳を塞いだ。だが親父の声は手の開いた、ちょっとの隙間から聞こえてきた。
「不味い!」
もう止めてくれ。母さんを虐めないでくれ。あんな優しい母さんを……暴力を振るわないでくれ。
「金もらってくぞ」
「あなた! 止めてください」
「うるさい! 口答えをする気か」
俺は我慢の限界だった。
ドアが開く音がした。もう帰って来なければ良いのに。
母さんのすすり泣きを聞きながら、俺も涙を流した。
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