第一部~勇者の道~

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夜、寝ているとドアの開ける音がした。 親父だ。 「おい! 美智代。飯を食べに来てやったぞ!」 俺は耳を塞いだ。だが親父の声は手の開いた、ちょっとの隙間から聞こえてきた。 「不味い!」 もう止めてくれ。母さんを虐めないでくれ。あんな優しい母さんを……暴力を振るわないでくれ。 「金もらってくぞ」 「あなた! 止めてください」 「うるさい! 口答えをする気か」 俺は我慢の限界だった。 ドアが開く音がした。もう帰って来なければ良いのに。 母さんのすすり泣きを聞きながら、俺も涙を流した。
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