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「それで真さん。いつ向こうに行っちゃうの?」
「う~む……。残念ながら明日すぐに行かなければならないんた。すまないな」
俺と伊咲の母親、親父の愛妻、千歳(ちとせ)頭を下げる親父。
母さんと伊咲にだけ普通に接しているくせになぜ俺だけ?
こんな事を言う程俺は落ちぶれていない。
ぐっと心の中で抑えた。
「まぁなんだ。皆の顔を見たくなってな。特に陽介、お前のな」
「俺?」
真面目な顔をして俺を見る親父。
いきなり何なんだ? やっぱり息子が心配になるのか。
少し見直し……、
「やっぱり陽介が心配でなぁ~! こいつは俺がいないとダメだしな~!!」
「あらあら。ウフフ」
前言撤回。
やっぱり親父には『クソ』がついていた方がお似合いだ。
母さんも母さんだよ! なぜ笑っていられるんだよ!?
「……お兄さま」
「伊咲……」
「私がお兄さまを支えてあげますから…!」
……ありがとう伊咲。気持ちだけで兄ちゃんお腹が一杯だよ。
あれ? なんだろ? 雨で前が見えないや…。
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