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月が、見えた。
とても綺麗な、金色に輝く月が。
その月が、段々と上って行く。
……違う。
月が上っているんじゃない。
私が、落ちている。
月明かりの中見えた、人影。
あの人物に、私は突き落とされた。
「どうして…?」
呟きと同時に大きな衝撃に襲われ、私の意識は消えていった。
残ったのは、月明かりの中、狂った様に笑う人影。
そして―――地面に紅き華を咲かせ命を消した、物言わぬ少女の亡骸。
月がとても綺麗な夜。
紅き華が咲き、一人の少女の命が消えた。
その全ては―――月だけが知っている。
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