悲劇ヒーローでも喜劇

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ピ~ヒャララ、ピ~ヒャララ♪ 祭り囃子が蒸し暑い夜に響き渡る 俺達はりんご飴を片手に夜店を物色していた 「おにぃさん。私あの一等のモデルガンが欲しいの。くれるわよね」 テキ屋のお兄さんに小5とは思えない色気と先天性なサディスティックさで迫っていたのは隣りに住む幼なじみの綾ちゃんだ! 欲しがってるモデルガンで何をするのか… いや、何を標的にして高笑いするのかはあまり考えたくない 「綾さん。モデルガンが欲しいなら言って下さいよ。そんなに欲しいなら僕が本物のコルトパイソン差し上げしますよ」 おいおい、読み手に解るようにトカレフくらいにしとけよ このいけ好かない奴は隼人 大方の予想を裏切る事無くバカなボンボン 兎に角常識が欠落している はなから常識を記憶する気もないだろう 奴はどうやら綾ちゃんが好きらしくやたらに媚びへつらっているのだ しかし、綾ちゃん曰わく 従順な奴隷など要らない。私は反抗的なやつを従わせるのが大好きなの! クラスの男子数名を使って人間椅子を作り上げ 足を組み換えながらタカさながらの目で俺に言ってきたのを一週間に2回は夢に見てうなされるくらい覚えている 野郎になびく事はまずない しかし何がいいのやら… ボコン!!そんなやり取りを見ている俺の後ろから破壊音が聞こえた 剣くんだ! 一緒に祭りに来てた最後の一人 どうやら型抜きに興じていた剣くんはご自慢のパワーで下の台ごと削ったらしい 彼は小5で180センチ超えの体躯で 二の腕は丸太 太ももは成人女性のウエスト 腹筋は仮面ライダーと言う感じで 名前を一字貰ってフランケンと呼ばれていた 性格は温厚で無口 自然を愛する心優しいフランケンだ しかし、力の調節が出来ない。一度飼育委員をやった時うさぎを抱く度に圧死させてしまうと言う事件があった。それ程力の調節ネジは常に強になったまま うさぎの死に一番涙していた彼は、悔しさで壁を叩き、泣いてうさぎ小屋を跡形もなく潰した伝説をもつ 「しっぱいした」 フランケンはそう言って俺達の方へ戻ってきた 何とも珍妙な連中は夜店にしては豆球もなくどんよりとした店を見つけた「なぁ、あそこなんか面白そうじゃね?」 一般的小5の俺はそこを指差しみんなを誘った コクンと頷き付いてくるフランケン 悪態をつき渋々歩き出す綾ちゃん 綾さんが行くならと隼人 なんか苛立ちを覚えるものの俺達は負のオーラ漂う店に着いた
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