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『そ…外に…あくま…悪魔…サタンがいる!』今考えても恥ずかしいなんて最悪な例え。案の定、母と兄は大爆笑!!それでも僕は『いいから外に出て‼』と、母と兄を外に出して、長男がいる所へ。そしてさっき黒いやつがいた空を見上げる…そこには、ただの薄紫色の夜空があった。
また移動したかもしれないと思い、周りを見渡す…でも結局何もなく…母と兄二人は大爆笑し家に帰っていった。僕は…泣いた
悔しくて泣いた
怖くて泣いた
もう…何がなんだか解らなくて泣いた
それからしばらくは母も兄二人もそのことを従兄弟や、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん、近所の友達、色んな人に笑い話として、ばらまいていた
兄二人にも僕がちょっとでも怖がると、『サタンがくるぞ~』なんて言われからかわれた。
僕はそれが本当に本当に悔しくて嫌でたまらなくて
…一時期…本当に無口になった
正直悪魔とか幽霊とかどうでもいい。
人でさえ肉親でさえ、もう信じられなかった。
なんでサタンなんて言ってしまったんだろう…僕のおじいちゃんは教会の神父さん達を育てる学校の先生を戦後やってたらしく、おじいちゃんはもちろん、親族は皆、日曜日には教会のミサに参加しに行っていた。宗教に関してはかなりアメリカ風である。
ミサが終わった後にシスターの元で聖書やその登場人物の事などを勉強する勉強会みたいな事をしていた。
その中でサタンつまりルシファーなどの事もきかされ子供ながらにかなり怖い印象があったのがまず原因だとは思う。
幽霊や悪魔ってのはテレビや絵本や本の挿絵等でどんな感じってのは頭には入っていた。だけど、僕が見たものはそのどちらでもなく、本当に初めて目にした…まさに化物だった。例えるものが無いから恐怖心からサタンと言ってしまったんだと思う。
その頃ちょうど、『ある事件があり』、幽霊や宇宙人なんかよりも、悪魔の存在を信じていたんです。
それはまた別の話。白い手を見、黒い渦で血の色のような赤い目をした化物を見、それでも僕は幽霊を信じていなかった。見間違いだ。恐怖心からの想像だ。なんて心に何度も言いきかせていた。
つづく
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