入学式

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「お、来た来たー はやくこい!」 教師に見つからないように体育館に入ると、式が始まるまで、あと数分だった。 大地の姿を見つけると彼は、自分の隣の椅子を指差して座れと言った。 「いいか、今回の賭けは……」 「賭けはしないよ」 大地は昔から幼稚だった。 その割に中学から今にかけて 成績はトップ。 彼女がいない時期もなく運動神経も抜群な、いわゆる出来るヤツだ。 それに比べ俺は、いままで女子と付き合った回数0 バレンタインだって何ももらった試しがない。 運動神経もさほど良くはなかったし、勉強のほうもさっぱりだった。 どうしていつもこんなに親密な? 2人なのにこんなにも差があるんだろう、って思っていた。 だからって、彼女を欲しかった訳じゃないし 運動だってそんなに出来ても意味がないと思ってたし…… 何一つ自然なまま過ごしてこれた。 「ちぇ、つまんねーの」
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