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そんな顔しているまみを気にしながら、近くにあった窓から外の様子を覗いてみた。実のところ、僕は魔法世界のことを完全に信じていたわけではなかった。
ぽちも詳しく教えてくれなかったし、何より今居るところが魔法世界だという実感がなかった。
なんの変哲もない部屋にでっかい鏡…
でも、外を見てから考え方が一気に変わった。
ーこれが魔法世界…
建物が浮いている。乗り物も、人も。
そして空は緑色だった。
僕たちの世界では考えられなかった。
建物や人が浮くなんて考えられない。それに空が緑色なんて…
「すごいでしょ!私も見たときはびっくりしちゃった!」
さっきまでの雰囲気から一転して、興奮したようにまみが話しかけてきた。
「うん。すごい…」
呆気にとられながら僕は答えた。
「ねぇ!外出て見よっか!」
とまみは言い、僕の答えを待たずに外に飛び出してしまった。
僕もその後に続いて出ていこうとしたが、部屋の隅に卵があるのに気づいて手にとってみた。
その卵をまじまじと見ていると、
「きゃぁぁぁー!」
と言う悲鳴が聞こえてきた。
それはまみの悲鳴だった。
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