第一章 松尾家

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幸せいっぱいの気持ちで車を走らせ、家の前まで帰ってきた。 家の前には、よく見るスポーツカーが止まっていた。 頼子の幼なじみの奈美の車である。 年齢は頼子の2個上だが、お姉さんと言うよりも気の合う友達として幼少の頃から遊んでいる関係である。 奈美は24歳だが、頼子よりも若く見え、街に出るとナンパをされたり、振り向く男は山ほどいる。 そんな奈美は、毎日遊び回って、一ヶ所に長時間いることは少ない。 「今日もいっぱい遊んだか?」 奈美は勝彦を抱きかかえる。 奈美からすると頼子の息子は自分の息子にも思えるのである。 「いっぱい!!お姉ちゃん。」 奈美は勝彦に自分の事は、お姉ちゃんと呼ばすようにしている。 見た目も若く、頼子のように結婚して子供がいる訳ではないので、オバチャンと呼ばれるのに抵抗があるらしい。 「奈美ちゃん今日はどうしたの?」 頼子は奈美に訪ねた。 「今晩クラブに行くんだけど、夜まで暇だし頼子の手料理が食べたくなって。」 そう言って勝彦を抱きかかえたまま玄関へ歩きだした。 頼子の作る田舎料理は素朴だが味がある。 毎日派手に遊び回っている奈美には、頼子の手料理は安らぐみたいだ。
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