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「で、志はどうすんの?」
当の志はムスッとした顔で下を向いていて何も言おうとしない。
仕方ないので僕が代わりに「志は『そんな下らない事興味ない』ってさ」と答えてやった。
麗斗は少しムッとしたが、すぐに気を取り直したようだ。
春季と時間の打ち合わせを始めた。
「皆!今夜七時、屋敷の門前集合!持ち物は…各自できめろ!以上!解散!」
春季は決まった事を手っ取り早く伝えると、皆にさよならを告げ、意気揚々と教室を後にした。
春季に群がっていた子ども達も序々に散り始め、ついに僕等三人だけになった。
「さーて、かえるかぁ」
僕があくびをしながらそう言うと、志が
「先に行っててくれ…先生に用事があるんだ」
といった。
僕と麗斗は顔を見合わせた。
同じ事を思ったようだ。
「待つか?」
「早くいけよ、すぐ終わらないぞ」
しつこく促すので僕等はしかたなく志を残し、楽しく話をしながら教室を後にした。
…志が二人を冷めた瞳で睨んでいた事など、当人達は知らなかったであろう。
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